相続税・贈与税改正のポイント

2015年1月1日から相続税・贈与税が改正されています。
この改正によって相続税の基礎控除額が下がりました。今後は、相続税を課税される人が増えると思われます。実際に当事務所でも、2015年1月以降、相続税の申告が必要になるケースが増えています。

以下が相続税改正の要点です。

ポイント1:相続税の基礎控除が大幅に縮小されました!

今までよりも相続税の基礎控除の額が4割縮小されました。
相続税の基礎控除とは、遺産のうち一定の金額について、相続税を課税しないものとする制度です。

以前の税制では、この基礎控除の金額が大きかったため、ほとんどのケースで相続税がかかっていませんでした。

しかし、今後は相続税が課税され、相続税の申告が必要なケースが増えると予想されます。

他方で、相続人の中に未成年者や障害を持った方がいる場合には、未成年者控除・障害者控除は増額されています。

基礎控除

2014年12月31日以前 5,000万円+1,000万円×法定相続人の人数
2015年1月1日以降  3,000万円+600万円×法定相続人の人数

未成年者控除

2014年12月31日以前 6万円×20歳までの年齢
2015年1月1日以降   10万円×20歳までの年齢

障害者控除

2014年12月31日以前 6万円×85歳までの年齢
2015年1月1日以降  10万円×85歳までの年齢
※特別障害者の場合、2014年以前12万円⇒2015年以降20万円になります。

ポイント2:相続税の税率が一部5%アップ!

遺産の総額が2億円超3億円以下の人と、6億円超の人は税率が以前よりも5%高くなります。

法廷相続分に応じた基礎控除

税率

控除額

1,000万円以下

10%

3,000万円以下

15%

50万円

5,000万円以下

20%

200万円

1億円以下

30%

700万円

2億円以下

40%

1700万円

3億円以下

40% ⇒ 45%

1700万円 ⇒ 2700万円

6億円以下

50%

4700万円 ⇒ 4200万円

6億円超

50% ⇒ 55%

4700万円 ⇒ 7200万円

ポイント3:子や孫への贈与がしやすくなる!

父母や祖父母など直系尊属から20歳以上の人が3,000万円以下の贈与を受ける場合には、下記の表の「パターンA」に記載した税率になります。以前よりも、全体的に税率が低くなります。
それ以外の一般的な贈与については、「パターンB」に記載した税率になります。

基礎控除を差し引いた後の課税価格

パターンA

パターンB

税率

速算控除額

税率

速算控除額

200万円以下

10%

10%

300万円以下

15%

10万円

15%

10万円

400万円以下

20%⇒15%

25万円⇒10万円

20%

25万円

600万円以下

30%⇒20%

65万円⇒30万円

30%

65万円

1,000万円以下

40%⇒30%

125万円⇒90万円

40%

125万円

1,500万円以下

50%⇒40%

225万円⇒190万円

50%⇒45%

225万円⇒175万円

3,000万円以下

50%⇒45%

225万円⇒265万円

50%

225万円⇒250万円

4,500万円以下

50%

225万円⇒415万円

50%⇒55%

225万円⇒400万円

4,500万円超

50%⇒55%

225万円⇒640万円

50%⇒55%

225万円⇒400万円

上記の表の見方について、父親から25歳の子へ500万円を贈与したケース(パターンAに当たります)について、計算方法を説明します。

まず、贈与された500万円のうち、110万円までは、贈与税の基礎控除の範囲内になるので、非課税とされます。

500万円 - 110万円 = 390万円

この390万円は、下記の表のうち、「400万円以下」の部分に該当します。
したがって、税率は15%になります(パターンA)。

390万円 × 15% = 585,000円

ここから、「速算控除額」の10万円を差引きます。

585,000円 - 100,000円 = 485,000円

したがって、この贈与のケースでかかる贈与税は、金485,000円ということになります。

ポイント4:教育資金の一括贈与が可能に!

教育資金(入学金、授業料、学用品費、修学旅行費など)の贈与を受ける人が30歳未満の直系卑属の場合、最大で1,500万円(学校外に支払われる金銭については500万円)までは、贈与税がかからずに贈与を受けられる可能性があります。

ただし、以下のような条件を満たさない限りは贈与税が課税されます。

<非課税になるための条件>

平成25年4月1日から平成31年12月31日までに、金銭を拠出して金融機関に預けた場合。教育資金とは、学校などに支払う入学金や学校以外に支払う金銭のこと

この他にも、一括贈与を非課税にするためには様々な条件が必要です。
例えば、
・教育資金口座を開設した金融機関を経由して、管轄の税務署へ申告書を提出すること
・「学校等」の要件を満たすこと(たとえば、外国の大学の場合、この要件を満たすかどうかを慎重に判断する必要があります)

※単に銀行口座を作ってお金を移動させただけでは、この制度の適用はありません。条件を満たさない限りは、贈与税が課税されてしまいます。もしこの制度の利用を検討している場合には、慎重な判断が必要になります。

もし教育資金の一括贈与をご検討であれば、税理士への相談をお勧めします。

また、教育資金の一括贈与にかんする詳しい情報は、国税庁のウェブサイトにも掲載されています。

その他、税制改正に関する詳しい内容はお問い合わせください。
相続税や贈与税に詳しい税理士をご紹介させていただきます。


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