遺産分割協議書の作り方
遺産分割の話し合いがまとまったら、遺産分割協議書に、誰が何を取得するのかを記載します。
ここでは、遺産分割協議書の作り方のポイントを説明します。
■用紙
紙の大きさや種類に制限はありません。
■被相続人の特定
誰が亡くなったことによって遺産分割協議をしたのか、被相続人が誰であるのかを特定して記載します。
特定する方法としては、故人の生年月日、死亡日、最後の本籍、最後の住所、登記記録上の住所を特定して記載します。
■署名・押印
作成した遺産分割協議書に相続人全員が署名し、実印を押してください。押印する際には、印影が鮮明に出るようにしましょう。
遺産分割協議書が複数ページにわたるときは、用紙の左端をホチキスでとめて、1ページ目と2ページ目の境目に、相続人全員の実印で割り印をしてください。割り印が漏れていると、その後の相続手続きができなくなり、印鑑を押し直してもらう必要が出てきます。
また、相続する不動産の登記申請をする場合、少しでも記入の間違いがあると、法務局(登記所)から訂正を求められます。そのため遺産分割協議書には捨印があった方が望ましいです。わずかな記載ミスがあっても、捨印があれば、すぐに訂正ができるからです。
捨印を押すのを嫌がる相続人がいて、押してもらえない場合もあります。そのような時には、署名してもらう前に、遺産分割協議書の記載を念入りにチェックして、ミスのないことをよく確認したうえで、署名してもらいましょう。
■財産の表示
不動産を協議書に記載する場合、その土地の住所ではなく、登記事項証明書に記載してあるとおりの地番・家屋番号などを記載してください。
土地の場合には、所在・地番・地目・地積を記載します。
建物の場合には、所在・家屋番号・種類・構造・床面積を記載します。
銀行預金等を記載する場合には、銀行名・支店名・種別(普通預金、定期預金など)・口座番号を記載します。また、預金の金額は記載しなくても、相続手続きはできます。預金の金額は、死亡日以降で変動する可能性があるからです(たとえば、預金利息が入るなど)
■新たに遺産が見つかった場合、どうするのか
相続人が把握していなかった財産が、後日見つかる場合もあります。
「亡くなった人が一人暮らしをしていて、預金口座がどの銀行にあるのかを相続人が分かっていない」というようなケースでは、後日預金口座が見つかることもあります。
後日見つかった場合には、遺産分割協議書の中には、誰がその預金等を相続するのかが書かれていないことになります。
そのような場合に備えて、
「本協議書に記載のない財産が発見された時は、改めてその分割を協議する」
と記載しておくこともできますし、
「本協議書に記載のない財産が発見された時は、相続人○○がこれを取得する」
とあらかじめ決めておくこともできます。
■日付
遺産分割協議をして署名・押印した日付を記載します。
遺産分割協議の場に全員が集まらず、協議書を郵送して署名・押印をした場合には、最後に署名した人が署名した日付を記入すると良いでしょう。
■相続人の住所・氏名
相続人本人に住所・氏名を自署し、押印してもらいます。本人に代わって署名・押印がされると、後日トラブルになる可能性があります。
■印鑑証明書の添付
押印した実印の印鑑証明書を添付します。
遺産分割協議書は、作り方を間違えると、作り直しが必要になってしまったり、後で遺産分割が無効になるなどのトラブルになる場合があります。
遺産分割協議書は、ご自身で作成することも不可能ではありません。しかし、トラブルを避けるためにも、遺産分割協議書を作成する場合には、専門家にアドバイスを求めることをお勧めします。