【解決事例】法定相続分に沿って遺産分割するケースを司法書士が解説

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今回は遺産分割協議書の必要性について司法書士が解説します。

法定相続分に沿って遺産分割する場合にも遺産分割協議書の作成がおすすめ!

父親が亡くなり、相続人が母親・長男・長女という状況において、「法律上の相続分通りに登記の名義変更を行いたい」というご相談を受けることがあります。このようなケースでは、不動産の相続分を母親が1/2、長男と長女がそれぞれ1/4ずつといった形で共有にしたいという希望が一般的です。

この場合、単に登記の手続きだけを考えるなら、遺産分割協議書(相続人全員で話し合い、遺産の分け方を決めた書類)を作成しなくても、名義変更を行うことが可能です。実際に、法定相続分に基づいて不動産の共有登記をするだけであれば、特に複雑な手続きを必要としません。

しかしながら、遺産分割協議書を作成しないまま登記を済ませる方法は、将来的にトラブルが発生する可能性があるため、あまりお勧めできません。特に、相続人の間で意見の食い違いが生じたり、相続人の一部が後に亡くなった場合など、問題が複雑化するリスクがあります。

実際に、当事務所でも「法律の定めの通りの持分で、共有の登記にしたい」という相談を受けたケースがありました。このケースでは、もし遺産分割協議書を作成していなかったとしても、登記申請自体は行うことができましたが、万が一のことを考え、遺産分割協議書を作成しておくことをお勧めしました。

その後、この登記が完了してから半年が経った頃、相続人の一人である長女が突然亡くなるという事態が発生しました。長女の夫は、長女の家族とあまり良い関係ではなく、「妻(=亡くなった長女)は、そのような遺産分割に同意したはずがない」と主張し、「弁護士を立てて裁判を起こす」との意向を示してきました。

しかし、このケースでは、事前に遺産分割協議書を作成しており、長女がその協議書に実印で押印していたため、夫の主張は法的に認められないものであることが明確でした。そのため、実際に裁判沙汰には発展せず、トラブルは未然に防がれました。おそらく、長女の夫は弁護士に相談に行ったものの、「遺産分割協議書が適切に作成されている以上、裁判をしても勝ち目はない」と言われたのではないかと思われます。

このように、遺産分割協議書を作成しなくても手続きを進めることができる場合もありますが、後々のトラブルを防ぐためには、やはり協議書を作成しておくことが重要です。協議書の作成には一定の費用がかかりますが、将来発生するかもしれない裁判や争いを未然に防ぐことができると考えれば、その費用は決して高くないと感じることでしょう。

また、相続する財産が預貯金のみという場合でも、銀行の手続きは遺産分割協議書なしで進めることが可能です。銀行所定の書類に、相続人全員が署名・押印すれば、手続きは完了します。しかし、この場合でも、先の事例と同様に、後々のトラブルを避けるためには、遺産分割協議書を作成しておくことを強くお勧めします。遺産分割協議書を作成することで、相続人全員の合意が明確になり、将来的な安心感を得ることができるからです。

当事務所では相続が発生する前に揃えておくべき書類についてや、相続発生後にどのような書類が必要になるのかなど相続・生前対策についての無料相談を実施しています。

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