相続が発生し不動産が相続財産に含まれていると抵当権についてどのような手続きをすれば良いのか気になる方も多いと思います。
ここでは抵当権について専門家である司法書士が解説します。
具体的には、抵当権とは何か、また抵当権抹消の際にはどのような資料が必要か、更に当事務所の無料相談でよくいただく抵当権抹消に関するQ&Aを掲載します。
抵当権抹消とは?
まず抵当権の抹消についてよくご相談者様より「聞いたことはあるけど、あまり意味が分からない」と仰られることが多いので説明します。
抵当権抹消とは、不動産に設定されている抵当権を登記簿から抹消することです。
不動産を買う際に、住宅ローンを利用すると借り入れの担保として「抵当権」を設定しますが、住宅ローンを払い終わると金融機関は抵当権を設定する必要がなくなります。
そこで抵当権抹消登記をし、住宅の抵当権を外します。
もし抵当権を抹消しないと将来不動産の売却ができなくなってしまうなどの問題が発生してしまうので住宅ローンを完済したらすぐに抵当権抹消登記をされることをおすすめします。
さらに注意点として抵当権抹消登記は住宅ローンを払い終わっても自動でされることはなく、ご自身で行うか司法書士が代理で行う必要があります。
抵当権を抹消しなかった場合のデメリット
住宅ローンを完済したのにもかかわらず、抵当権を抹消する登記を行わなかった場合、どんな問題が発生するのでしょうか?
抵当権抹消登記を行わなかった場合のデメリットを4つ解説します。
新たに住宅ローンを組むのが困難
抵当権抹消登記を行わないと、土地や不動産を担保にして新たに住宅ローンを組むことができません。
登記簿上に抵当権が残っている=住宅ローンを完済していない、というわけですから土地や不動産を担保にして新たに住宅ローンを組むということは難しいです。
不動産の売却が困難
抵当権抹消登記を行わないと、不動産を売却が難しくなります。
抵当権は1つの物件に対して二重に設定することができないからです。
買い手が抵当権付きの不動産を購入する際、買い手は新たにローンを組むことができないということです。抵当権付きとは債務が残っている状態ですから、通常金融機関は追加融資を行いません。
買い手からすると住宅ローンは使えない、別の抵当権者が債権を主張してくるリスクがあるため抵当権付きの不動産は売れない可能性が非常に高いです。
金融機関の登記情報が更新され手続きが大変
抵当権抹消登記を行わないと、のちの手続きが煩雑なものとなります。
金融機関からの資格証明書や委任状といった抵当権抹消登記に必要な書類は、その書類が出た時点での内容となっています。
金融機関の代表や経営体制の変更に伴い、その登記情報が変更となることがあるのです。
抵当権を抹消する場合、その間の変更の履歴をすべて書面として集める必要が出てきます。そうなった場合、書類をすべて揃えるのはとても大変なのです。
再発行できない書類がある
長期間、抵当権の抹消登記を放置していると、必要な書類を紛失してしまうことがあります。
金融機関関係の書類は連絡すれば再発行可能ですが、登記識別情報通知書および登記済証は、紛失しても再発行されないので注意してください。
登記識別情報通知書および登記済証を紛失してしまっている場合、事前通知制度または資格者代理人(司法書士など)による本人確認情報制度を利用しなければならないため、手続きがさらに煩雑なものとなり時間も要します。
では、抵当権抹消登記にが何が必要?
住宅ローンが完済して、抵当権抹消の登記をする際には、
下記のものが必要です。
1.銀行などから送られてきた、抵当権抹消用書類一式
その中身は以下の通りです。
・抵当権の解除証書
・抵当権を設定した際の権利証(または登記識別情報通知)
・銀行の委任状
・銀行の資格証明書(会社の登記事項証明書)
2.お客様の認印
登記用の委任状に、署名押印を頂きます。
※シャチハタの印(スタンプタイプの印)では登記できません。
通常の認印(三文判)であれば平気です。
3.お客様の身分証(運転免許証など)のコピー
※身分証の原本を持ってきて頂ければ、当事務所でコピーが取れます。