相続登記を自分ですると、危険な場合があります!
あなたが自分で相続登記をしようとするなら、必ずこの内容をよく読んで確認してからにしてください。
この記事をよく読むうちに、自分で相続登記をする時のポイントや危険性、専門家に依頼することのメリットについて、深く理解できるでしょう。
注意すべきポイントは、「私道持分の相続漏れ」と、「抵当権などの抹消漏れ」です。
Point 1 私道持分の相続漏れに注意!
自宅周辺の道路が公道ではなく、私道になっている場合があります。
「私道」とは、私人が所有し維持管理している道路のことです。この道路を周辺の方々と共有の状態にしている場合が、これにあたります。
相続の際に、この共有持分を見逃してしまうと、不動産の評価が大幅に下がってしまう場合があります。
私道の持分を登記し忘れていると、通行権などのトラブルが発生するかもしれません。
こういう不安定な要素があるため、不動産の買い主が住宅ローンを組み、銀行が不動産の価値を査定する際に、マイナスの要因になります。
結果として不動産の評価が下がる可能性があります。
そして、自宅の周辺に私道の共有持分があるかどうか、正確に分からない人がほとんどです。
相談の時に「自宅周辺には私道はない」と言っていた依頼者のうち、どのくらいのケースで私道持分が見つかったと思いますか・・・?
→約20パーセント!
実に、5人に1人の割合で、私道の共有持分が見つかりました。
「共有持分はない」と思っている人でも、実際に調査してみると、共有持分を持っているケースがあります。
あなたが、その20%に該当していた場合、私道の共有持分について登記が漏れていると、後でもう一度登記をしないといけません。
私道持分の登記をしないでおくと、不動産の価値が大幅に下がる可能性があるからです。
「もう一度、私道持分の遺産分けの話し合いをしないといけない・・・」としたら、とても面倒だと思いませんか?
分割協議書を作り直したり、相続人から印鑑証明書をもらい直したり、また法務局に行ったり・・。貴重なお休みの時間が奪われてしまいます。
専門家にこれを頼んだ場合には、その費用がかかります。
※実際に私道の登記もれがあった人のケース
相続登記を自分で完成させて、数年がたち、土地を売ろうとした段階で、「私道の相続漏れがある」と気づいた・・・。
そんなお客様から、相続の仕事を依頼されたことがあります。
そのお客様は、「こんな場所に共有持分があったなんて、全く知らなかった・・・」と言っていました。
時間をかけて自分で登記を完成させたのに、結果としてもう一度登記することになってしまい、「とても悔しい」と言っていました。
この方のケースでは、 自宅とは少し離れた部分に共有持分がありました。
自分で登記をしてから、5年以上が経過していたケースだったので、戸籍謄本や印鑑証明書なども全て取り直しました。
私道持分の登記をするために、結局費用と時間がかかり、土地売却の話もずれこんでしまいました。
ポイントは2つ。
(1)私道持分がどこにあるのかを調べるのは、ノウハウと経験が必要です。
周辺道路に共有持分があるかどうか、自分で調べるのは大変です。
実際には公図と評価証明書等を見ながら調べることになりますが、一般の人が自分で調べるのは難しいと思います。
特に、自宅に接していない場所、自宅から離れた部分の共有持分があることがあります。調べて見つけるのはとても大変です。
司法書士に依頼していただいた方が、間違いがなく、結果として安心です。
(2)私道持分の相続が漏れていた場合、あとで登記し直すのはとても大変です。
登記が漏れていると、もし将来、ご自宅を売却されるような場合には、もう一度相続登記をしなくてはなりません。
これには時間がかかります。
売却の時期が遅くなるため、不動産価格にも影響があるかも知れません。
Point 2 抵当権や仮登記の抹消の漏れに注意!
相続登記の際に、登記簿を調べると、「すでに完済しているはずのローンの抵当権が、まだ抹消されていない」というケースをよく見受けます。
また、亡くなった方が仮登記を設定していて、抹消登記が終わっていないケースもあります。
実際に、「相談して初めて、抵当権が残っていたことを知った」という方がほとんどです。
「ローンが完済しているから、抹消されていると思っていた」ということを、よく聞きます。
あなたが自分で相続の登記をすると、これらの手続を見逃してしまうかもしれません。
登記簿を普段見慣れていない人の場合、抵当権や仮登記がついていることを見逃してしまうことが多いです。
抵当権や仮登記は、「大至急抹消しなければならない」というものではありません。
しかし、抹消せずに放っておくと、後で消すのがとても大変になる場合があります。
特に、その抵当権の権利者(お金を貸した人)が個人の場合、その人が亡くなると抵当権の相続登記が必要になります。
また、抵当権の権利者が法人の場合、時間が経って法人が解散していたりすると、事実上、抵当権を消すのがとても難しくなる場合があります。
気が付いたタイミングで抹消しておくことをお勧めします。