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遺言書作成

「遺言」って、どんなものですか?

遺言」は、自分の死後に、その財産を誰に相続させるか、などを決める文書です。
遺言が有効であった場合には、法律で定められた相続分よりも、遺言の内容が優先されます。
遺言の書き方・方式は、法律で決められています。日付や署名・押印について、法律の定めがあります。
また、録音や録画は認められず、文書にする必要があります。

 

遺言書の効果

法律で定められた「遺言」を作っておくと、以下のようなメリットがあります。

1.相続手続きが簡単になります

誰かが亡くなると、その人の預貯金を解約したり、不動産の名義変更(相続登記)をしたり、様々な相続手続きが必要になります。
そ の際に、「遺言」を作っていない場合には、誰がどの財産を相続するのか、遺産分割協議書を作成する必要があります。相続人全員の印鑑証明書も必要になりま す。また、相続人を確定させるために、亡くなった方が生まれてから亡くなるまで、全ての戸籍謄本・除籍謄本などを集める必要があります。
これら作業をしないと、原則的には預貯金などは引き出しができません。したがって、時間と労力がかかります。

これに対して、有効な遺言を作っておけば、その遺言書に基づいて、相続人が預貯金や不動産の名義を変更することができます。
たとえば、夫が遺言を作成し、「妻にA銀行の預金を全て相続させる」と書いておけば、妻はA銀行にその遺言書を持っていき、預金の名義を変更することができます。

ケースにもよりますが、例えば一家の大黒柱である父親が亡くなった場合、その方の預金口座に財産の大部分が入っていたとします。
その場合、葬儀費用や当座の生活費などが必要になっても、遺産分割協議が終わるまでは預金口座から引き出せないことになります。

2.相続人以外の人に財産をあげることができる

遺言書を作っておけば、民法で定められた相続分と異なる内容で、相続させることができます。
例えば、恩を受けた友人・知人などに死後にお礼をしたい場合、遺言書を作っておかないと、それを実現することはできません。
遺言書を作っておけば、相続人以外の人に財産をあげることができます(「遺贈」と呼ばれます)。

3.子どもの認知などの、身分上の手続きができる

事情があって、婚姻外の子がいる方は、遺言によって認知をすることが可能です。

 

遺言書を作成しておく必要性が高いケース

遺言をしないままに亡くなってしまうと、相続手続きが大変になる可能性があることがあります。
遺言書作成の必要性が高い事例を挙げます。

1.夫婦に子がいない場合

夫婦のどちらかが亡くなると、相手方の親族(親または兄弟)と遺産分割協議をしなくてはなりません。

例えば、夫が亡くなると、妻は、夫の両親と話し合いをして、遺産分割協議をしなくてはなりません。
夫の両親が亡くなっている場合には、夫の兄弟と話し合いをする必要があります。

親族関係が上手くいっている場合でも、夫の親や兄弟と何度も話し合いをしたり、戸籍謄本や印鑑証明書を取り寄せてもらったり、大変な作業が必要になります。

遺言書を作成しておけば、このような遺産分割協議の手続きをしなくても、預貯金や不動産などの名義変更が可能になります。

2.夫婦が内縁関係の場合

婚姻届を出していない夫婦(いわゆる内縁関係)の場合には、パートナーが亡くなった場合、その相手の方は法定相続人にはなりません。相続する権利がないことになります。
したがって、長年一緒に暮らしていたとしても、たとえば内縁の夫が所有していた家は、内縁の妻が相続することはできません。
その家から出ていかなければならない場合もあります。

3.相続人以外の人に財産をあげたい場合

相続人以外の人にお世話になり、お礼がしたいという場合には、遺言書にその内容を書いておく必要があります。
たとえば、自分の長男に妻がいて、長男が先に亡くなってしまっている場合で、自分は長男のお嫁さんにお世話をしてもらっている場合です。
この場合、長男の妻は、相続人ではありません。遺言で財産をあげる(遺贈)旨を書いておかないと、長男のお嫁さんには、財産はわたらないことになります。

4.事業を経営している場合

事業経営をされている場合にも、遺言をしておく必要性が高いといえます。
たとえば、経営者が亡くなったことを金融機関が知れば、その方名義の口座が凍結されることになります。取引先への支払いや従業員の給与など、支払いの場面で困ることになります。
また、株式会社の場合には、株式の相続のことで争いになると、事業を継続していくことが難しくなってしまいます。その場合、従業員やその家族の生活も不安定な状態になってしまいます。

5.離婚・再婚によって親族関係が複雑になっている場合

このようなケースでは、遺産分割協議をすることが困難になる場合があります。
離婚・再婚の経緯が複雑なケースなど、感情面のもつれから、遺産分割協議が上手く行えないこともあります。
例えば、父親が2度結婚していて、前婚の子供(A・B)と後婚の子供(C・D)がいる場合を想定してみます。
この場合は、父親が亡くなれば、現在の配偶者と、子(A・B・C・D)の間で遺産分割協議をすることになります。
また、同じ事例でDが未婚の状態で亡くなってしまい、Dの両親が先に亡くなっているようなケースでは、Dの兄弟姉妹が相続人となるので、CとA・Bの3人の間で、遺産分割協議をする必要があります。
上記のような事例で、もし遺言書を作っておけば、遺産分割協議をせずに相続手続きを進めることができます(ただし、遺留分の問題は残りますが)。

6.一人暮らしをしていて、ペットのことが心配な場合

ペットには相続権はありません。「全財産をペットに相続させる」というような遺言をしても、その部分には効力は生じません。
たとえば、知人などにペットの世話をしてもらう代わりに、その方に財産を遺贈するという方法が考えられます(負担付の遺贈)。

 

遺言書に関するQ&A

遺言書に関して、よくある質問をQ&Aにまとめました。
ぜひご覧ください。

>> 遺言書作成に関するQ&A

 

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この記事の執筆者
中島法務司法書士事務所 代表司法書士 中島 信匡
保有資格 司法書士(登録番号:埼玉 第1095号)
経歴 昭和55年 埼玉県坂戸市出身
平成 5年 坂戸市立千代田小学校卒業 
平成15年 立教大学法学部法学科卒業
平成18年 司法書士試験合格
平成19年 行政書士試験合格(未登録)
平成19年 司法書士登録

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