相続手続きは、どのような順番で進めたらいいのでしょうか?
また、いつまでに手続きをすれば良いのでしょうか?
相続手続きに慣れている人は、そう多くありません。
まず、手続きの大まかな流れは以下の通りです。
1. 被相続人の死亡(相続手続きの開始)
↓
2. 健康保険や年金、公共料金などの各種手続き
↓
3. 相続人の調査
↓
4. 遺言書の有無の確認
↓
5. 相続財産の調査
↓
6. 相続放棄・限定承認 (必要な場合のみ、3か月以内)
↓
7. 準確定申告(必要な場合のみ、4か月以内)
↓
8. 遺産分割協議
↓
9. 相続税の申告・納付(必要な人のみ、10か月以内)
↓
10.財産の名義変更
この中で、時間的な制限があるものが3つあります。
1つ目は、相続放棄をする場合
→3か月以内
2つ目は、準確定申告をする場合
→4か月以内
3つ目は、相続税の申告をする場合
→10か月以内
以上です。
では、ここからは少し詳しく手続きの流れをご説明します。
被相続人の死亡(相続手続きの開始)
被相続人が亡くなったら、死亡届・埋火葬許可申請書を提出し、通夜・葬儀をとり行います。
埋火葬許可申請書については、相続手続きの一覧の中の「亡くなった直後にする手続き」をご覧ください。
健康保険や年金、公共料金などの各種手続
健康保険証の返却、年金の受給停止の届け出(被相続人が年金を受給していた場合)、公共料金の支払い方法の変更など、各種の手続きをします。
詳しくは、相続手続きの一覧の中の「亡くなった後、早めに済ませる手続き」、「年金関連の手続き」、「公共料金、その他の手続き」をご覧ください。
相続人の調査
相続人が誰であるかを確定させるために、被相続人の戸籍謄本等を取得します。
生まれた時から亡くなった時まで、全ての戸籍謄本・除籍謄本等が必要になります。
戸籍謄本の取得については、相続手続・相続放棄に関するQ&Aの中の「亡くなった人の戸籍謄本を集める方法を教えてください」を参照してください。
また、当事務所では戸籍取得の代行サービスを行っています。お気軽にお問い合わせください(電話:049-299-7960、メールでのお問い合わせはこちらから)。
遺言書の有無の確認
被相続人が遺言書をのこしていなかったかどうか、確認します。
遺言書が見つかった場合には、家庭裁判所の検認の手続きが必要になる場合があります。
遺言書があった場合には、その内容に沿って相続の手続きを進めることになります。
遺言書の検認については、相続手続きの一覧の中の「少し落ち着いたらする手続き」をご覧ください。
相続財産の調査
被相続人の遺産(相続財産)の内容を調べます。
預貯金、株式等の証券、自動車、不動産など、漏れが無いように調べます。
また、マイナスの財産(借金やローン、保証債務など)が無いかどうかも、あわせて調べます。
相続放棄・限定承認
相続財産の内容を調べて、マイナス財産の方が大きい場合には、相続放棄・限定承認の手続きが必要になる場合があります。
もし何もしないでいると、借金なども相続されてしまいます。相続人に支払う義務が承継されてしまいます。
これを相続しないようにするためには、相続放棄または限定承認の手続きが必要になります。
これらの申立てには期限があります。
被相続人が亡くなったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所に申し立てをする必要があります。
期限がありますので、ご相談を考えている場合にはお早めに相談されることをお勧めします。
準確定申告
被相続人が確定申告をしていた、あるいは確定申告をする予定だった場合には、相続人が被相続人に代わって確定申告をする必要があります。このことを準確定申告と呼びます。
準確定申告は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から4か月以内にする必要があります。
遺産分割協議
全ての相続人の間で、誰がどの財産を相続するのかを、具体的に話し合います。
話し合いが決まったら、遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議をする際に、以下の3つの場合には、そのままでは遺産分割協議が行えない場合があります。
・相続人の中に未成年者がいる場合
→特別代理人の選任が必要なケースがあります
・相続人の中に認知症の方がいる場合
→成年後見人の選任が必要なケースがあります
・相続人の中に行方不明者がいる場合
→不在者の財産管理人の選任、または失踪宣告の申立てが必要になる場合があります
相続税の申告・納税
相続において一定の財産をお持ちの場合には、相続税の申告が必要になります。
相続税の申告は、相続が開始したことを知った時から10か月以内に、税務署に申告することになります。
なお、相続税の申告については税理士のアドバイスを受けることをお勧めします。
当事務所では、お近くの税理士の先生をご紹介しています。
財産の名義変更
遺産分割協議の内容に沿って、財産の名義変更をします。
不動産であれば、相続による所有権移転登記をします。
また、預貯金や証券、自動車などについても、それぞれの窓口で名義変更手続きをします。
遺留分減殺請求をする場合には
被相続人が遺言をのこしていて、その内容がある相続人の遺留分を侵害するような内容であった場合には、遺留分を侵害された相続人は、遺留分を超えて遺贈を受けた人に対して、減殺(減額・取戻し)を請求することになります。
遺留分減殺請求ができるのは、相続の開始および遺留分の侵害があったことを知った時から1年です。
遺留分については、遺言書作成に関するQ&Aの中の「遺留分とはどのようなものですか」をご覧ください。
相続手続きの完了
相続手続きは全て終わりになります。
ここまで来るには、たくさんの時間と労力がかかるものと思います。
もし、分からないことや相談したいことがありましたら、ぜひ当事務所までお問い合わせください(電話:049-299-7960、メールでのお問い合わせはこちらから)。