遺言書の検認
遺言書があった場合、遺言書の検認が必要です
亡くなった方が手書きの遺言書(「私署証書遺言」)を書いている場合には、
遺言書の検認という手続きが必要です。
※公正証書遺言(公証人役場で作成された遺言)の場合には、この検認の手続きは不要です。
遺言書の検認とは?
遺言の検認とはどんな手続きでしょうか。 亡くなった人の遺言書が見つかり、それが公正証書遺言以外の形式であった場合(自筆で書かれた遺言書など)には、家庭裁判所の検認手続きが必要になります。
検認とは、遺言の存在や内容を相続人に知らせるとともに、遺言書の偽造・変造を防止するための手続きです。
家庭裁判所に対して申し立てをすることになりますが、「検認」の手続きは、遺言が有効か無効かを判断する手続きではありません。
※見つかった遺言が「公正証書遺言」(公証役場で作成された遺言)の場合には、遺言書の原本が公証役場に保管されており、偽造・変造の恐れがないため、検認の手続きは必要ありません。
検認手続きの注意点
公正証書による遺言以外の場合には、家庭裁判所の検認の手続きをしなければなりません。被相続人が自筆で書いた遺言書が見つかった場合には、家庭裁判所の検認の手続きが必要になります。
この場合の注意すべきポイントは3つです。
(1)検認がされていない遺言では、相続内容が事実上実現しない
手書きの遺言書があるケースでは、家庭裁判所の検認手続きを経ていない状態では、不動産の相続登記をすることができません(法務局で受け付けてもらえません)。
また、検認がない状態では、金融機関に持っていったとしても、口座の解約・引き出し等に応じてもらえません。
(2)検認の申立てをしないと、行政罰(過料)がかされます
検認の手続きを怠った場合には、5万円以下の過料(行政上の罰金のようなもの)に処される可能性があります(民法1004条1項、1005条)
「検認の手続きは、してもしなくても構わない」と思われている方がいますが、それは間違いです。検認の申立はしなければなりません。
また、「封印がされていなければ検認手続きは不要」と思っている方がいますが、これも間違いです。封印のない遺言書についても、そのままの状態で家庭裁判所に検認の申し立てをする必要があります。
(3)遺言者が亡くなった後でも、封印は勝手に開けてはいけない
封印のある遺言は、家庭裁判所で開封しなければなりません。相続人が勝手に開封することはできません。勝手に開封すると、やはり5万円以下の過料に処される可能性があります(民法1004条3項、1005条)
検認手続きの流れ
(1)誰が申立てをしますか?
遺言書の保管者、または遺言書を発見した相続人(民法1004条1項)が申立てを行います。多くの場合では、同居している親族や関係性の近い方が申立てをすることになります。
(2)どこの裁判所に申し立てますか?
亡くなった方が最後に住んでいた場所を管轄する家庭裁判所です。 詳しくは当事務所までお問い合わせください。
(3)どんな書類が必要ですか?
・申立をする人の戸籍謄本、1通・相続人全員の戸籍謄本、各1通
・遺言をした方(亡くなった方)の生れてから亡くなるまでの連続した戸籍謄本
・遺言書のコピー
※ケースにより、他のものが必要な場合もあります。
(4)手続きの流れ
・検認の申立てから検認の期日当日までの間は、遺言の保管者(多くの場合は申立人)が遺言の原本を保管することになります。遺言書の原本は検認の期日当日に持っていきます。
・検認の申立てがされると、相続人全員および利害関係人などに、検認期日(裁判所に集合する日時)の通知書が送付されます。
・検認期日の当日は、相続人全員が家庭裁判所に集合することになります。
・裁判所の職員の面前で、遺言書の内容が確認されます
・検認が終わると、検認済証明書が交付されます。これは遺言書の末尾に編てつされ、契印がされます。
遺言書の検認のみのご依頼
「他の相続手続きは自分でやりたいが、遺言書の検認手続きだけお願いしたい」
このようなご依頼も可能です。
遺言書の検認手続きのみのご依頼も可能です。
遺言書の検認手続きのみご依頼いただいた場合のご費用は、下記のとおりです。
当事務所の報酬 : 40,000円~
(取り寄せる戸籍謄本の通数によっては加算する場合があります)
戸籍謄本等の取り寄せの実費は、ご負担頂きます。
<実費>
戸籍謄本 : 1通450円
除籍謄本・改製原戸籍 : 1通750円